引越しする時、荷物と一緒にトラックに同乗できたらどんなに楽で安心だろう…そう思った事のある人は想像以上に多いでしょうね。
ですが、引越し業者に頼んでみたらあっけなく断られた…そんな経験を持つ人も少なくないでしょう。
決して意地悪で拒否しているのではないのですが、その理由が良くわからないと言う人も多いので、ここでちょっと解説してみますね。
目次
荷物と同乗!…原則はNG!
引越しの時、車を持っていないなど新居へ向かうための足がなく、困った経験はありませんか?
そして、そんな時「荷物と一緒に乗せてくれる?」と頼んでみた経験もありませんか?
どの引越し業者も「同乗はできません」ときっぱり断った事でしょう。
引越し業者は、【貨物自動車運送事業法】と呼ばれる法律に従って事業を行っています。
この法律の定義となる第2条第2項の中で
《この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第七項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。 》と定めています。(貨物自動車運送事業法より抜粋)
そのため、引越し業者は「貨物」を運送対象とするのであって、「人間」を運送対象としてはならない事になっているのです。
場合によっては同乗可能な事も!
引越し業者のトラックに同乗する事は、原則禁止となっていますが、場合によってはOKな事もあります。
例えば「道案内」であったり「荷物の監視」といった理由であれば、例外的に認められるとされているのですが、そこにも色々な問題が隠されています。
具体的には、事故が起こった場合の補償です。
本来、貨物に限って運搬が許可されている状態でありながら違反をして人を運搬し事故を起こした場合、当然ですが補償されないと言う事態に陥ります。
客側が「どうしても」と無理を言って同乗した場合は特に、「何かあっても責任は取れませんよ?」と言われるはずですので、補償されないのが当然という事になります。
そんな事も想定しているので、同乗を打診されても断られてしまうんですよ。
実は人が乗る事で別料金が発生する場合は「貨物」ではなく「旅客」扱いとなってしまうので、貨物自動車運送事業法に従って営業している引越し業者の場合、違法な事をしているという事になってしまいます。
また、有償にて人を運搬する旅客となる場合は、運転手が《二種免許》を取得している必要があるんです。
なら、無料で乗せてくれればいいじゃないか…と思うかもしれませんが、やはり補償という面からもなかなかそうもいかないんですよね。
そんな中、客も荷物と移動できるとして今注目を浴びているのが、アート引越しセンターの《ファミリーサルーン》です。
このファミリーサルーンはバスをベースにして改造した特殊車両で、荷室と客室が別々になっています。
でも、どうしてこのファミリーーサルーンは客が同乗できるのか不思議ですよね。
この疑問について、筆者はアート引越センターに取材を試みましたが、返事はなく、疑問は解決されていません。
筆者の予想では、例外の通り「道案内」あるいは「荷物の監視」という名目で同乗を可能としているのではないか、または荷室と客室が別々になっているから許可されているのか、いやいや無料だから良いのだという事なのか、いまだ不明のままです。
ファミリーサルーン、いつでも誰でも使える?
引越しの荷物と一緒に同乗できてしまうファミリーサルーンは、まだ台数が少ないため予約制になっています。
ですので、希望しても時期や予約状況によっては利用したくても利用できないと言う場合があります。
また、利用には色々な制限があるので、そういった理由でも利用できない事があります。
利用可能な人数
同乗可能な人数は6人までと決められています。
利用可能な範囲・距離
新居まで当日中に到着できる距離なら利用可能とされています。
つまり、車内に宿泊する予定での利用は出来ないと言う事です。
利用料金
引越し料金のみで、ファミリーサルーン利用の料金が別途かかる事はありません。
以上のような制限やルールがありますが、それが満たされる引越しなら利用価値はとても高いと言えますね。
さらに、このファミリーサルーンなら大型犬などのペットも同乗できてしまいますし、介護が必要な方のために車椅子が乗れるなど、ニーズに合わせたサービスを展開しているので人気を集めているようですよ。
自分で行くのと同乗、どっちがいいの?
さて、引越しの時にトラックに同乗して新居まで行くのと、自分で行くのとではどちらの方が良いか…ですが、これも人それぞれ考え方がありそうですよね。
まずは、簡単にメリット・デメリットを比較してみました。
トラックに同乗の場合
メリット
- 新居への到着が一緒だから待たせないで済む
- 交通費を使わずに済むから経済的
- 運搬状況(運転の乱雑さなど)が確認できる
- 道に迷わず済む
デメリット
- 気を使う
自分で行く場合
メリット
- 先につけば搬入の準備がある程度できる
- 気楽
- 先につけば近所に作業開始を知らせておける
デメリット
- 渋滞などによっては自分の方が遅く着く事がある
- 交通費がかかり不経済
- いつまでも待たされる事もある
ざっとメリット・デメリットを挙げてみました。
これらを総合的にどう判断するかは人それぞれですが、筆者は自力で行く事を選びます。
筆者自身、トラックドライバーをしていた事があるので思うのですが、トラックは結構衝撃がある乗り物なので、揺れるたびに「荷物は大丈夫か!?」なんて思われたのでは精神的に参ってしまいます。
もちろん、荷物に破損がないように積み方に注意点などはありますが、やはりそれも経験者でなければ分からない事なので、お互い気持ちよく引越しができるようにするためには、ある程度の距離感も必要なのかと思わなくもないのです。