賃貸物件でタバコを吸っていた場合の退去費用はどうなる?

賃貸住宅でも持ち家でも、喫煙者にとって家でタバコを吸うという行為は当たり前の事。 

でも賃貸住宅だと退去時に原状回復義務があるので、莫大な退去費用を請求されるのでは…?と不安にもなります。 

タバコによる退去費用への影響はどの程度のものか、安く済ませる方法はないか、いろいろ探ってみました。 

原状回復の意味

国土交通省によると、原状回復の意味は次のようになります。 

『「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」』 

(※国土交通省住宅局 平成238月版「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より) 

つまり、カビのなかった部屋はカビのない状態で、真っ白だった壁は真っ白な状態で返しましょうという事です。 

また、壊れていなかったものは壊れていない状態にして、故意や過失による破損が認められない状態で明け渡す事を意味しているのです。 

このガイドラインの考え方においてタバコのヤニがどう扱われるのかが、喫煙者にとって大きなポイントとなるわけです。 

 

退去費用の現実

賃貸住宅の室内で喫煙していた場合の退去費用は、正直のところ、まちまちです。 

部屋の広さや居住年数によって異なるのは当然ですが、大家さんや管理会社の考え方ひとつで、まったく違った退去費用がはじき出されるからです。 

たとえば、1Kの一人暮らし用の部屋に1年未満しか住んでいないのに10万円以上の請求をされるケースもありますし、2LDKの部屋に家族で2年ほど住んで13万円請求というケース、1Rに1年住んで3万円の請求で住むケース等、さまざまです。 

ですので、相場についても同様に、大家さんや管理会社の考え方ひとつでまったく異なるため、相場なんてあってないようなもの…と言うことになってしまいます。 

 

タバコのヤニは通常の生活で発生するものかどうか

原状回復の考え方の中では、通常の住まい方や使い方をしても発生してしまうものについては毎月の賃料に含まれているものとしており、別途原状回復のための費用を支払う必要はないとしています。 

しかし、通常の住まい方や使い方をして発生する場合としない場合があるものについては、『「故意・過失、善管注意義務違反等による損耗等」を含むこともあり、もはや通常の使用により生ずる損耗とはいえない。したがって、賃借人には原状回復義務が発生し、賃借人が負担すべき費用の検討が必要になる。』としています。 

(※国土交通省住宅局 平成238月版「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdfより) 

ここでタバコのヤニや臭いがどちらに入るものなのかという点ですが、一般的には「タバコのヤニは誰にも平等に当てはまるものではない」といえるため、通常の住まい方や使い方とはいえないとの認識があります。 

とは言え、居住期間が1年程度など短い場合には、タバコのヤニもクリーニングで落とせることから、その場合は別途請求されることはないとしています。 

 

退去費用の決まり方

退去費用の決まり方は、どの程度の範囲を原状回復の対象とするかによって異なります。 

部屋全体なのか、1室だけなのか、汚れの目立つ部分だけなのか等、大家さんや管理会社の考え方次第です。 

中には、とりあえずぼったくって費用を請求しておいて、文句を言ってきたら交渉に応じた風を装って減額したように見せかけるというような手口を使うところもあります。 

たとえば、当初の請求額が13万、文句を言われたから7万に減額しました…みたいな形で、でも実はそんなにかかっていないというやり方です。 

ですが、本来は国土交通省のガイドラインにあるような、賃借人負担割合などを考慮して退去費用が算出されるべきとしています。 

とは言え、こうしたガイドラインも法的拘束力があるわけではないので、守られていないのが現状です。 

 

(※国土交通省住宅局 平成238月版「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より) 

 

退去費用を安く済ませる方法

タバコのヤニによる退去費用請求があまりにも高額で納得できない場合、契約内容をじっくり見直すようにしてください。 

契約書内で壁紙の張替え等について記載されていなかった場合、それを盾に、交渉することが可能です。 

また、居住期間が短い場合には、クリーニングで落とす事ができるはずですので、その旨を申し出てください。 

素人だから何も知らないはず、言い値で支払うはず等と思われている可能性があるので、そうではない旨、いろいろ知っている風をかもし出すようにしましょう。 

こうした方法で交渉し、請求されていた費用をほぼ無しに近いところまで持っていけた人も中にはいるのです。 

また、居住期間が短い場合は、クリーニング程度で落とせると言われていますので、不安な場合は自分でクリーニング業者に依頼してみるのも方法です。