高齢者の引っ越しには大きなリスクを伴うと言われています。
その理由と症状にはいろいろなものがありますが、適切な時期に適切な対処をすることができなければ症状は悪化してしまうことになりかねません。
今回は、高齢者の引っ越しに伴うさまざまな影響とその対処法について解説していきますね。
引っ越しが高齢者に与える影響
引っ越しが高齢者に与える影響は、若い人たちのそれとは大きく異なり、重大な結果を招く危険性もはらんでいます。
たかが引っ越しかもしれませんが、高齢者の場合はさまざまな面で十分な配慮が必要となります。
では、引っ越しが高齢者に与える影響・注意点について、ひとつずつ見ていってみますね。
ストレス
お年寄りでなくとも引っ越しにはストレスがついて回ります。
これまで住み慣れてきた土地を離れてまったく知らない新しい土地へ行く事は、若い世代でもとても不安で仕方ないものですよね。
それでも子供を通じて交流が広がったり、買い物に出かけるたびに近所の方と顔を合わせるなどしていくうちに馴染んでいく場合があります。
しかしお年寄りにはそういった機会も少なく、体も思うように動かないなどする事から、不安やストレスが増大するばかりです。
そんなストレスを与えないためには、家族の支えがとても重要になります。
引っ越しで環境が変わることだけでも非常に大きなストレスになっているはずですので、一人ぼっちにすることだけは避けましょう。
休日のたびに一緒に買い物に出かけたり、一緒に過ごす時間を多く持つことです。
一人ぼっち、孤独、と思わせない事が、ストレス軽減に大きく役立つでしょう。
うつ
引っ越しによる高齢者への影響で比較的多いのが、うつ病です。
老人性うつとも言われますが、引っ越しによるストレスが原因になっていることがほとんどです。
めまいや頭痛など体調不良が現れるようになると老人性うつ病の始まりかもしれません。
もともとの原因がストレスなので、ストレスを回避するための対処法と同じく、孤独感を与えないようにしてください。
また、新しい環境もいいものだと思えるように工夫して接していく必要があります。
引っ越してきたら子供たち家族との交流が増えた、孫と会える機会も多くなった…などの楽しみを与えてあげることが重要です。
認知症
もともと認知症があるお年寄りの場合、引っ越しをきっかけに悪化する可能性はそれほど高くありません。
もちろん人によっては悪化してしまう場合もありますが、それほど深刻ではないようです。
どちらかというと、うつ病を持ったお年寄りが引っ越しをきっかけに認知症へと発展してしまうケースのほうが問題となっています。
高齢者となってからの引っ越しは、若い世代には創造もできないほどの大きな負担、そして精神的ストレスを強いられることになり、そのストレスがうつ病へと発展し、最終的には認知症へと進んでいってしまうようです。
基本的には、ストレスを上手に発散させたり溜め込まないように配慮してあげることがとても重要になります。
ストレスからうつ病へと発展する事からも、家族の支援、支えが何よりも重要で、孤独感を与えない、寂しさを感じさせない、やりがいを与えるなどが効果的です。
お年寄りになると体が思うように動かないため、家にこもりがちになりますが、それでもやりがいを与えてあげることで認知症の発症は防げます。
お庭で野菜作りでもいいでしょう。
孫と一緒に収穫する楽しみができるなどしたら、大きなやりがいにつながるのではないでしょうか。
家族の支えがなければ実現不可能
高齢者の引っ越しは、家族の支援・支えがなければ実現不可能です。
若い頃のように自分で何でもできる・引っ越し後の手続きだって自分ひとりで大丈夫…とはいかないものです。
ましてや体が思うように動かなくなりつつあるお年寄りですから、家族の支援なしには引っ越しを乗り切ることは不可能と言って間違いないでしょう。
また、体力的にも引っ越しは高齢者にとって大きな負担となります。
バタバタと落ち着かず、気ぜわしい空間に身をおいていなくてはならないので、それだけでも想像できないほどのストレスを抱えているはずです。
できることなら、引っ越しが終わって落ち着くまで、親戚のところで過ごしてもらうなどストレスを与えない方法を選択するほうが良いでしょう。
あるいは、引っ越し作業のすべてをやってもらえるお任せパックのようなプランを利用して、一切の負担を与えないという方法がおすすめかもしれません。
手続き関係は一緒に
一人暮らしのお年寄りの引っ越しの場合は、家族が役所などの手続きに同行してください。
また、同居の場合もできる限り一人ぼっちにせず一緒に行動するのが良いでしょう。
お年寄りになると、手続きに必要な書類や持ち物の確認もおろそかになりやすいので、そういった意味も含めて、家族と一緒に行くのが良いでしょう。
また、ストレス対策として手続きのために役所へ行きながら、近所をあれこれ散策してみたり、お散歩を兼ねてみるのも悪くはありません。