転居先が決まったら、まずは引っ越しの方法を考えましょう。
引っ越し業者に頼むのか、自力でやって友人に手伝いをお願いするのか…それによっては、かかる費用だけでなく荷造りをはじめとする引っ越し準備の全てに大きな違いが出てくるので、まずは引っ越しの方法を決めてしまうと後々スムーズです。
とは言え、業者に頼むのと自力でやるのとでは何がどのくらい、どう違うのかもわからない…そんな人も多いですよね。
今回はそんな人たちのために、業者でやるか友人とやるかの違いについて詳しく解説していきます。
目次
自力でやって友人に手伝いを頼んだ場合の「費用」はどのくらい?
「引っ越しはお金がかかる」これは誰もが知っているであろう一般論です。もちろん、実際に多額のお金がかかります。新居の契約にかかる費用、そして引っ越しの費用、場合によってはこれまで住んでいたお部屋の原状回復にお金がかかる事もあります。
これらの中で、何とか削って最小限に抑えられそうなのが引っ越し費用ですね。では具体的にはどうやって最小限に抑えるのか…?そう、ここで思いつくのが、《引っ越し業者に頼むのではなく自力で引っ越しをして、友人に手伝いを頼む》と言う方法です。
例えば3LDKの部屋から同じ3LDKの部屋への引っ越しのように、同じ条件での家族の引っ越しを例に挙げてみましょう。
自力で引っ越しをする場合、まずはトラックを借りなければなりません。3LDKほどの広さだった場合、2t車では積みきれない場合がほとんどなので3t、あるいはそれ以上の大きさのトラックが必要になるか、2tで何往復もする事になるでしょう。
大きなトラックになればレンタル料金も結構な金額になり、6時間程度のレンタルでもゆうに1万円~3万円前後はかかります。小さなトラックで何往復もする場合は、それだけ時間がかかるのでやはり同じくらいの料金がかかると考えます。
さらに、返却時にはガソリン満タン返しが基本なので、その料金もかかります。これらをトータルで考えると、レンタカーに関わる費用だけでも5万円前後は見ておく必要があるのです。
また、友人に手伝いを頼む場合はお礼が必要になりますね。いくら友人だからといっても無料でというわけにはいかないのが通常ですから、1人あたり1万円程度の出費は覚悟しておきましょう。さらに、友人に手伝いを依頼した場合、昼食代も負担しなければならなくなると考えてください。
そして、場合によっては引っ越し作業終了後、「ありがとう。みんなで夕飯でも食べに行こう」などという流れになる可能性もあるので、そこでの負担も出てくるでしょう。昼食、夕食ともに1人あたり1,000円程度だったとしても、2,000円×頭数の負担です。
仮に3人の友人に手伝いを頼んだとしたら、お礼が3万円、食事代が6千円…トータルで4万円弱の出費になると考えられます。
このように、引っ越しを自力でやって友人に手伝いを頼んだ場合の費用は、レンタカー、お礼、食事代等を考えると、人数にもよりますが3人の友人だった場合およそ9万円~10万円はかかると考えて良いでしょう。
引っ越し業者に頼んだ場合の費用は?
引っ越し業者に頼んだ場合の費用は、引っ越し会社、そして引っ越しの時期によって大きく異なります。
正直、引っ越し業者に頼む場合の費用には、相場があってないようなものなので、交渉次第という事になるのです。交渉さえうまくいけば、自力で引っ越しをするよりもずっと安く済ませる事も十分可能になるので、できるだけ多くの引っ越し業者と交渉を行うと良いでしょう。
具体的には、
- 引っ越し業界最大手のS社で4LDK一戸建てから3LDKマンション最上階への引っ越し、距離にして20キロ程度を、4tトラック1台と2トントラック1台、作業員4名でトータル8万円
- 3LDKマンション最上階から5LDK一戸建てへの引っ越し、距離にして30キロ、4tトラック1台、作業員3名でトータル6万円
という実例もあります。
もっとすごいのは、
- 3LDKアパートから5LDK一戸建てへの引っ越し、距離にして20キロほど、作業員2名でトータル2万5千円
という超破格の引っ越しの実例もあるのです。(全て筆者の実体験です)
費用以外にも重視すべきポイントがある
目に見えないところに消えていく契約費用や引っ越し代だけでなく、転居先では新しいカーテンや家具などを買い替える事もあり、本当にお金がかかります。だからできるだけ抑えられるところは抑えたい…ですよね。
でも、引っ越しの方法を決定するうえで重要なポイントは、実は費用だけではなかったんです。費用は安く抑えられればそのほうが良いに決まっていますが、通常の買い物ではなく「引っ越し」という作業なだけに、もっと重視しなければならないポイントがあるのです。
例えば引っ越し作業中に、荷物が破損した場合を考えてみましょう。自力の引っ越しで友人に手伝いをしてもらっていて、友人が誤って大切な壺を落とし、壊してしまったとします。「弁償して」と言えますか?
忙しいのに大変な引っ越し作業を手伝ってくれた友人に「落としたんだから弁償してよ」と、普通は言い出しにくいですよね。後々の関係を考えると、余計に言い出しにくいはずで、これは友人に手伝ってもらった場合の最大のデメリットと言えます。
でもそれが引っ越し業者に依頼した引っ越しだった場合、弁償してもらう事ができるんです。引っ越し業者に依頼した場合、大手引っ越し業者などでは必ず保険に加入する事になっています。
大切な荷物に対する保険です。ですから、荷物に破損があった場合、その保険で弁償されますので何の遠慮もなく弁償してもらう事ができるのです。これは引っ越し業者に依頼した場合の最大のメリットですね。
また、自力での引っ越しで友人に手伝いを頼んだ場合のメリットとしては、予定外の荷物が出た場合でも対応してくれる事、時間や費用を気にせず細かい事まで頼みやすい事、気心知れた仲間だから気楽にやれる…などです。
これが引っ越し業者に依頼した場合は、時間で作業を行っているのでパッパと終わらせて次の現場へ行ってしまいますから、あまり細かい要望には応えてくれない場合もありますし、色々言い出しにくい面もあります。
労力という観点からも、自力でやれば疲れますし、引っ越し業者に頼めば楽ができます。
このように、引っ越しに関するメリット・デメリットは、自力でやって友人に手伝いを頼む場合でも、引っ越し業者に頼む場合でも、それぞれにあります。自分の引っ越しでは何を最優先に考えるのか、何を最も重視したいのか、そこをしっかり見極めたうえで引っ越しの方法を選択すると間違いはありません。
結局はどっちがおススメなの?
費用、労力、補償、精神面…。
引っ越しの方法を決めるのにどれを最優先にしたらいいか、迷いますよね。もし「疲れるのは嫌」「補償は大事」と思うなら、迷わず引っ越し業者に依頼すれば良いですし、精神面で気楽なのがいいと思えば自力でやって友人に手伝いを頼むのが良いでしょう。
ただ、費用が重要という場合は、引っ越し業者に見積もりを依頼し、交渉してみなければどちらが総合的にお得かはわかりません。一般論としては自力でやった方が安いと言われていますが、交渉次第では引っ越し業者に依頼したほうが安かったという現実もありますので、「交渉次第」になるわけです。
引っ越し業者に頼む場合の交渉術
ここで、引っ越し業者に頼む場合の交渉術をこっそりお伝えしますね。一括見積などを依頼すると、すぐに何社もの引っ越し業者から電話がかかってきます。「今日、これから見積りに伺えます」のような感じで、とてもスピーディーです。
こうした訪問見積りのアポイントには積極的に応じて、できるだけ多くの引っ越し業者と交渉を行うと良いでしょう。その時に重要なポイントは、1社目で激安の見積額を引き出す事です。そして、そこで契約はせず、2社目、3社目と交渉を行います。
たいていの営業マンは「ここで決めてくれたら」という言葉を使って激安価格を提示してきますが、すぐに決めてはいけません。そこで出た見積額を、他の引っ越し業者との交渉に使うのです。「さっきの業者はここまで下げてくれた」のような形です。
すると、たいていは営業所に電話をして上司に許可をもらって、そして大幅に価格を下げてきます。また、「いくらなら?」と聞かれる事もあるので、ダメ元で思い切った金額を言ってみましょう。
そこで運よく希望額まで下がった場合は、契約してしまうのが良いでしょう。もし、まだ下げたいと思うなら、次の引っ越し業者との交渉に移ります。
でも、あまりに多数の業者と交渉しすぎると、逆に「これ以上は無理」という壁に当たり、せっかく引き出せた激安価格から一転、高くなって行ってしまう事もありえますので、適当なところで妥協するのも大切です。
ほとんどの場合、こうした方法で破格の見積額が引き出せますので、自力でやるか業者に頼むか迷っている場合は、一度試してみると良いですよ。