引越しでクーリングオフ制度は使えない?契約解除方法を解説!

引越し関係のさまざまな手続きにおいて、クーリングオフ制度が使えない事をご存知でしょうか。

ではクーリングオフ制度が使えないなら、契約後のキャンセルや解除はどうやればいいのか、どんな手続きや流れになるのか、ここで少し解説してみますね。

クーリングオフ制度とは

クーリングオフ制度とは、購入意思とは無関係に結んでしまった契約を、少し頭を冷やして冷静に考え直すために設けられた制度です。

この制度の中では、8日間という一定期間内であれば無条件にその契約を解除できるとしていますが、全ての契約において適用されるわけではありません。

クーリングオフが適用されるのは、訪問販売やキャッチセールスなどによって契約を結んでしまった場合に限られ、自ら進んで店舗へ出向き購入した物・契約した物については適用外となっています。

こうした事を考えると、引越し関係の契約においてはクーリングオフが適用されない事はよくわかりますよね。

 

引越し業者のキャンセル・契約解除

引越し業者との契約は、突然の訪問販売やキャッチセールスではなく、自ら引越しを考え、引越し業者の選定を行って契約しているはずですよね。

つまり、訪問見積もりをしてもらって契約をしていてもこれは訪問販売には当たらず、クーリングオフ制度の対象とはなりません。

引越し業者と交わしてしまった契約を解除したい場合は次のようにします。

 

引越し業者に電話をして、契約解除を申し出る

契約書には連絡先などが必ず記入されていますので、契約を解除したい場合はそこへ連絡をしてみましょう。

契約解除したい理由などを聞かれる可能性もありますので受け答えできるように準備しておくと良いですよ。

 

もらったダンボール等は返却する・または買い取る

契約した際にダンボールやガムテープなどをもらっていた場合は、それらを返却するか、買い取る必要があります。

返送しようとしても、実はサイズ的にかなり厳しく、数枚単位でしか送れない事があります。

多量のダンボールをもらってしまっていた場合、返却するだけでもかなりの費用がかかるので、買い取ったほうが良い時もあります。

または、車を持っているなら近くの営業所まで持っていくというのもひとつの方法です。

 

契約解除の日にちによってはキャンセル料を支払う

契約書の裏面などに小さな文字で書かれている約款などをよく読むとわかりますが、引越し予定日の2日前までにキャンセルを申し出た場合はキャンセル料がかからずにキャンセルする事ができます。

ですが前日などになってしまうと、一定のキャンセル料を支払う必要が出てきますので、契約解除の申し出を行う日には注意してください。

ちなみに、キャンセル料はキャンセルの連絡を入れた日によって異なりますが、10%~20%前後になります。

おそらく、引越し作業を行う以前に料金を支払う事はないと思いますが、もし先払いで支払っていた場合は、キャンセルをした日によっては全額、またはキャンセル料を差し引いた分が返金される事になります。

 

賃貸物件のキャンセル・契約解除

賃貸物件の契約においても、クーリングオフ制度は適用されません。

突然の訪問販売やキャッチセールスでその部屋への引越しを決定したわけではないためです。

では、賃貸物件の契約を結んでしまった後でこれをなかった事にしたい場合は、手続きが厄介になる事もあります。

 

入居前の契約解除

入居前に、結んでしまった契約を解除したい場合はまず不動産会社に契約解除の申し出を行います。

基本的には、入居前であっても契約書に署名・捺印をしてしまっていれば契約は成立していますので、契約後に解除したい場合は「解約」と同じ手続きが必要になります。

つまり、入居前であったとしても、入居の途中で退去する場合と同じ手続きという事です。

また、払ってしまった費用についても、全額返金される事はありません。

もちろんケースバイケースで、不動産会社によっては「まだ入居もしていないから」として敷金は全額返金してくれる事もあります。

ただ、礼金は大家さんへの迷惑料、h空海手数料は契約が成立しているので必要経費として没収されると考えてください。

前家賃については、通常の退去と同じ手続きともなれば「退去予告は1ヶ月以上前に行う」等が契約書に記載されていますので、返金されない可能性があります。

とは言え、これらも「入居開始日」より前だったのか後だったのかによって対応が別れるケースもあり、「絶対にこう」という物がないあいまいさがあります。

例えば、契約は成立しているけれど入居開始日前だったからまだ鍵を受け取っていなかったというような場合には、仲介手数料と礼金以外は全額返金するという不動産会社もありますし、敷金が1か月分程度返金されるだけという不動産会社もあります。

つまり、不動産会社の考え方次第になってしまう…という側面が強いといえます。

ちなみに、契約書に署名・捺印する前の段階なら、払った全ての費用…敷金・礼金をはじめ、手付金などが全額返金されます。

 

入居後の契約解除

入居開始日も到達し、すでに入居した後で予想もしなかった騒音などに悩まされて「話が違う」と思う事があります。

筆者もその一人です。

ですが、こうしたケースで「騒音なんて聞いてない!話しが違うから契約は白紙に戻してくれ」と言っても、残念ながら通用しません。

自分にとって騒音であったとしても、それが万人にとって騒音ではないからです。

ですからよく言う「生活音」として処理されるだけで、契約が白紙に戻る事はほぼないと諦めてください。

仮に、内見の際や契約前に「静かな部屋ですか?」と確認をしてあったり、「騒音に悩まされない部屋を探している」と伝えてあり、「これなら大丈夫」として紹介された物件だったのに話が違うという場合は、対応が異なる場合もあります。

ただしこの場合も契約が白紙に戻るのではなく通常の退去として扱われますが、原状回復の査定が甘くなったり、敷金は全額返金などの対応をとってくれる不動産会社も中にはあります。

このように、入居後の契約解除は、一般的な退去・解約の手続きと同様になりますので、退去したい日の1ヶ月以上前に不動産会社に連絡する必要があり、契約時に支払った礼金、仲介手数料は当然返ってきません。

敷金に関しても、原状回復、ルームクリーニングなどに使われます。

 

契約が成立すると取り消しは困難

入居前・入居後に関わらず、引越し関連についてはクーリングオフ制度の適用はありませんし、契約を白紙に戻す事が困難になります。

入居者、つまり借主はいったん借りてしまえばどこまでも法律によって保護されるという立場にありますが、その反面、いったん契約書に判を押してしまうと「やっぱりやめた、お金返して」という言い分が通用しない事があります。

特に入居後の騒音トラブルなどは本当に辛いもので、本来安らぐはずの自宅が、安らげないばかりか神経がピリピリするだけの居たくない場所になってしまう可能性が高いんですよね。

ともすれば「神経質すぎる」「気にしすぎる人」とこちらが悪者のように言われるようになってしまうなど、納得のできない事が多いものです。

こうしたトラブルを防ぐためにも、賃貸物件を契約する際には入念な下調べをし、急いでいたとしてもあわてて契約書に判を押すような事のないように注意しましょう。