引越しでできた傷や荷物の破損は業者に補償してもらえる?

引越し業者に荷物を傷つけられた…なんて話は、残念ながらよく耳にします。

信頼して引越しの依頼をし、大切な荷物を預けているのに、終わってみたら破損や傷。

物が惜しいというよりも、そこに詰まった思い出が壊されたみたいで納得出来ないことも少なくありませんよね。

そこで今回は、引越しの破損や傷に関する補償や賠償について、解説していきます。

引越しで起こった破損や傷は補償される

引越しの時、業者のせいで大切な荷物がもし破損したら…もし床や壁が傷になったら…。

そんな心配は誰もが持っていることでしょう。

信用して引越しの契約をしたものの、それでももし万が一…という思いは拭い去れないのが普通ですよね。

でも、実はそんな心配は無用なんですよ。

引越し業者はもしも荷物を破損させたり傷をつけたりしてしまったとき、約款に従い補償を行うことになっているんです。

また、引越し業者独自に保険に加入している事もあり、荷物の破損や傷に関しては万全を期しているんですよ。

具体的には、国土交通省の「標準引越運送約款」で荷物に対する補償とその責任を保証しており、トラブルを最大限に回避するよう定めています。

また、引越し業者が独自に加入する「引越荷物運送保険」などでも万が一の破損や傷にも対応しています。

賠償の金額については、標準引越運送約款による補償が最大2,000万円まで、業者独自の保険では種類によって異なりますが、数千万円単位まで補償される場合があります。

ちなみに、荷物の破損や傷に関して責任を問える期間は引越しから3ヶ月以内となっていますので、忙しいからと荷物の片づけを後回しにせず、できるだけ当日中にすべての荷物を確認するようにしておくと良いでしょう。

 

補償はあるが、立証が困難

では、引越し作業中に起こったと思われる破損や傷は100%すべて補償されるのかというと、実はそうでもなかったりします。

というのは、《それが本当に引越し作業によって起こった破損や傷なのか》が立証されなければならず、そこがもっとも困難な部分だからなんです。

例えば、本当に引越し作業中に破損が起こっていたとしても、「自分で破損させたのでは?」「荷造りの時点で破損していたのでは?」といった嫌疑がかけられることもあり、業者の作業によって破損したことを証明するのがとても難しいのです。

もちろんこれは、引越し業者側が保険を使いたくない、補償をできるだけしたくないと考えている部分があるが故の事なので、大手よりも中小の業者のほうがこの傾向が多く見られています。

実際に筆者の親族で、床に傷をつけられたが補償されなかったというケースがあります。

床に傷がついたというクレームを入れたところ、後日傷隠しのためのクレヨンのようなものが1本、封筒に入って送られてきただけ…ということがあったようです。

中小の業者の中には、こうした最悪の対応しか出来ないところもあるので、十分に注意してください。

 

破損や傷を見つけたら

引越し作業に夜と思われる破損や傷を見つけたら、速やかに引越し業者に連絡を入れましょう。

その際は、苦情という姿勢ではなく、破損や傷が見つかったので確認してほしい旨を伝え、冷静に対処してくださいね。

そうした連絡を入れると、専門の担当者が後日訪問して確認してくれるはずですので補償について話し合ってください。

また、引越し作業中に破損や傷を発見した場合は、その場ですぐに作業員に報告し、確認してもらいます。

現場での作業員に補償に関する決定権や権限はない場合がほとんどなので、後日改めて担当者が訪問する形になるでしょう。

その上で、担当者と補償について話し合う事になります。

大切な荷物が破損してしまったり傷がついてしまうと、悲しい気持ちと同時に怒りがこみ上げてくるものですが、そこは冷静に対応したほうが後々のためだと言えそうですよ。

また、担当者の名前はきちんと覚えておくようにしましょう。

苦情の対応がイヤで逃げてしまい、たらい回し…なんてことになるのを防ぐためです。

 

引越し業者選びは慎重に

ホームページ等で補償についても明記している大手の引越し業者ならまず大きな心配はないと言えますが、本来は補償に関して明記していない中小の業者であっても約款によって補償は確保されているはずです。

ところが実際には、筆者の親族の例のように、補償など全くする気配のない業者も存在していますので、できるだけ引越し業者選びは慎重に行ったほうが良いでしょう。

引越し業者を決める際、多くの人は費用を中心に考えてしまいがちですが、万が一の際を考えた場合、それだけでは後悔することになりかねません。

もっともおすすめなのは、優良業者として口コミなどで人気の引越し業者、補償について明確にしている大手業者などで価格の交渉を行い値引きしてもらう方法でしょう。

また、訪問見積もり等の際に、万が一の破損等の場合の補償について聞いてみるのもひとつの方法です。

しっかりとした回答が得られるなら安心して任せられるのではないでしょうか。