家賃には、下がる時期があります。
今住んでいる部屋の家賃ではなく、入居者を募集している部屋の家賃です。
ただ、すべての部屋の家賃が下がるわけではなく、下がる物件・下がらない物件さまざまです。
今回は、家賃が下がる時期とその特徴など、値下げ交渉の成功につなげるためのポイントをお伝えしてみますね。
家賃が下がる理由
長い間部屋探しをしていると、「あれ?この部屋、家賃が下がった?」と思う事があります。
これは、入居者が決まらず長い間空き室となってしまっているために、思い切って家賃をさげてみようという試みです。
部屋の管理を委託している大家さんと不動産業者の間で「入居者が決まらない場合、家賃を下げてみると効果が出る可能性がある」などの話し合いが持たれ、その結果、家賃が下がっているわけです。
大家さん側としては「空き室にしておくよりも、多少家賃を下げてでも誰か入ってほしい」と思っていますし、委託された不動産会社の方も「何とかしなくては」という焦りがあるので、家賃値下げという形になって現れてきます。
また、家賃の値下げだけでなく、礼金を無しにしたりフリーレントの期間を設けたり、設備を充実させてお得感を出すなども入居者獲得の手法の一つです。
つまり、「入居者確保のための手段」として、家賃値下げが行われているわけなんですね。
では、どうして家賃を下げたりお得感を出す必要があるのでしょうか?
引越しにはシーズンがあります。
新入学や就職などの3月前後がもっとも引越しの発生する繁忙期となりますが、それを過ぎるととたんに引越し件数が激減してしまうんです。
もっと言えば、いくら入居者募集をしても決まらない、入居者が見つからない…という事態になるわけです。
大家さん側としては、それこそ死活問題にもなりかねない事態なので、なんとしても入居者を確保したい、そのためには家賃を下げたりフリーレントを設けたりしてお得な感じにしてみよう!となるのです。
入居者側の立場で言えば、家賃が1,000円でも安くなると「お!下がった!」と思えるものですよね。
さらに礼金がなくなったり、フリーレントがあったりするとほかの物件と比較した時に「お得なほうがいい」と思ってもらえる確率が上がる…それを狙っているわけなんです。
家賃が下がる時期
具体的に、家賃が下がる時期はいつ頃なのかというと、繁忙期の終わった5月から9月頃までの間が最も家賃の下がる時期と言われています。
実際、筆者が常に物件情報を注視しているのですが、8月末まで動きのなかった物件が9月に入って2,000円も家賃を下げたというのを見ています。
ただ、10月に入ると時期的にはまた値上がりしてくる可能性もあります。
一般的には「一度家賃を下げたら上げるのは困難」と言われていますが、中にはそんな事おかまいなしに値上げしてくる業者もいます。
筆者が注視している中に、そういった物件もありました。
さりげなく1,000円アップ…みたいな感じです。
あるいは、家賃の部分では値上げをせずに「管理費」という名目を新設し、そこで値上げするという方法です。
トータルで考えれば値上げになりますよね。
1年を通して最も家賃が下がる5月から9月の時期を狙えば、少しでもお得に部屋を借りる事ができるかもしれませんよ。
絶対下がらない物件も中にはある
アパート経営を真剣に行っている大家さんなら、「空き室は困る、安くしてでも誰かに入居してもらいたい」と思っています。
しかし道楽程度に考えている大家さんの場合、「家賃を下げるくらいなら別に入居者なんて見つからなくてもいい、そのうち見つかる」と思っている事があります。
後者のような場合は、一般的には家賃が下がる時期に来ていても、長年入居者が見つからなくても家賃は絶対に下がりません。
実際、そういったケースを筆者はずっと見てきています。
おそらく、アパート経営で自分の生計を維持しているわけではなく、道楽としてとらえ、家賃収入は当てにしていないという感覚なのでしょう。
このような物件の場合、家賃交渉もほぼ不可能なので言い値で入居するしか方法はありません。
家賃を安くする方法
家賃は安い方がいいに決まっています。
いや、高い家賃を払いたいんだ、もっと高くしてくれ!なんて思っている人はおそらくいないでしょう。
と言っても、家賃を決定するのは大家さんで、こちらの希望通りにはいかないものですよね。
じゃあ、大家さんの言い値で契約するしかないのでしょうか。
もっと家賃を安くする方法はないものなのか…あれば知りたいですよね。
ここでは、家賃を安くする方法を、さまざまな角度から新たな切り口で見て紹介してみますね。
礼金を値切る
家賃そのものを値下げしてもらう事が困難な場合、礼金に着目してみましょう。
一般的に礼金は家賃の1か月分、多いところで2か月分とされています。
仮に2か月分取る物件で、それを1か月分に値切れた場合、どれだけ大きな効果が得られると思いますか?
例えば家賃8万円の物件で2か月分必要な礼金を1か月分にできた場合、8万円の値下げに成功しているわけです。
この8万円を通常の契約期間の2年間で割ると、1ヶ月当たり3,333円ですよね。
つまり、礼金を1か月分減らしてもらうだけで、1ヶ月の家賃を3,333円値下げしてもらったのと同じだけの経済効果が得られたと言う事になるわけです。
通常の値下げ交渉でも家賃を3,000円も値下げしてもらえると言う事は、ほとんどありません。
たいてい1,000円~2,000円程度が限度ですので、それ以上の大きな効果と言えるんですよ。
近隣との相場を調査する
近隣の物件と比較し、明らかに不相応に家賃が高かった場合、借地借家法第32条1項の借賃増減請求権に従って家賃値下げの請求を行う事が可能です。
不相応であると判断するためには、いくつかの条件がありますが、近隣の同種の建物との比較によって明らかにこちらの家賃が高額であると判断できる場合も含まれています。
また、これは契約書の内容にかかわらず効力を発揮するものなので、調査結果を明確に提示する事で、交渉が可能になるでしょう。
引越しをにおわせる
今住んでいる部屋を引っ越そうと考えている理由が家賃なら、まずは家賃の値下げを試みてみましょう。
管理会社に、引越しを匂わせてみます。
今と同等で家賃の安い物件情報を探し、印刷などして持っておきます。
管理会社を訪問し、生活が苦しくなってきたから引越しをするかもしれないという話をし、印刷した家賃の安い物件を見せ「これくらいの家賃のところ移ろうかと考えている」報告をしておきます。
空き室が出るのを嫌う管理会社なら、家賃値下げの相談を大家さんにしてくれる可能性があります。
もし反応がなかったら諦めて本当に引越しをすれば良いだけなので、まずは今の部屋の家賃値下げができないか試してみるのも良いでしょう。