引越し時の「ピストン輸送」「ピストン作業」とはどんな意味?

引越し業者に見積もりを依頼した時、ピストン輸送でやりますと言われる事があります。

このピストン輸送という方法で引越しをする場合、普通に引越し作業をするのとどう違うのか、料金的にはどうなのか、いい点や悪い点はないのか…色々気になる事はたくさんありますよね。

そこで、ピストン輸送による引越しとはどんなものなのか、解説してみますね。

ピストン輸送って?

引越しにおけるピストン輸送とは、今の部屋と新居との間を何度も往復して荷物を運搬する事を意味しています。

ピストン輸送という言葉自体は、運送業界ではごく普通に使われるもので、筆者もトラックドライバーをしていた時は、荷物が多くてトラックに積みきれずピストン輸送を行っていました。

一般的なピストン輸送は、荷物の量が多くてトラックに一度で積みきれない場合に行われていますが、引越しの場合はほかにも色々な事情によってピストン作業が行われます。

 

荷物量が多い時

一般的な運送業界と同じで、トラックに荷物が積みきれなかった場合に行われます。

大きなトラックが用意できればそちらで輸送するのが通常ですが、トラックに空きがない場合や予算、移動距離などさまざまな条件を考慮して決定されます。

 

道が狭い時

荷物を搬出する部屋、または新居、あるいは両方の部屋の周辺道路が狭くて大きなトラックが入って行けない場合に行われます。

また、これにも2つの方法があります。

  • 2tなど小さめのトラックを使って今までの部屋と新居の間を往復する方法
  • 2tなど小さめのトラックで荷物を搬出し、少し離れた大きな道路に停めてある大き目のトラックに積み替えるために往復する方法

いずれも道幅が狭い・作業に十分なスペースが確保できないといった周辺環境の問題がある場合にやむを得ずとられる方法です。

 

ピストン輸送のメリット

ピストン輸送・作業で引越しをする事には、実は意外なメリットもあるんですよ。

 

費用が安く済む事がある

一般的な引越しでは、荷物量に応じたサイズのトラックが使用される事になっています。

例えば家族なら4tクラス、単身者なら1~2tクラスが相場…といった具合です。

ですが周辺道路の事情などさまざまな理由によっては適したサイズのトラックが使えない事もあり、そんな場合には小さめのトラックでピストン輸送という選択がなされるわけですが、実はピストン輸送をした方が引越し費用が安く済む場合が多いんですよ。

トラックの大きさで引越し費用が大きく変わる事もありますが、最も費用に影響するのは人件費なんですね。

大きなトラックで手早く作業を終わらせようとすればその分人員も確保しなくてはならないので人件費も多くかかることになります。

ですが小さなトラックでピストン輸送という事は、その時点である程度時間的な余裕があり、少ない人員でも作業ができるという事。

だからトラック代と人件費の両方を削る事ができ、引越し費用の節約につながるんです。

 

落ち着いた作業ができる

ピストン輸送での作業はある程度時間的な余裕がある場合に行われますので、逆に言えばあわてずに作業を行うことができます。

つまり、作業が丁寧に行われる可能性が高いという事です。

また、作業を見守りながら的確な指示も出しやすく、落ち着いて引越し作業を行えるんですよ。

作業員も時間に追われて荷物を乱暴に扱う事がありませんから、双方にとってメリットがある方法といえますね。

 

ピストン輸送のデメリット

ピストン輸送での引越しには、メリットだけでなくデメリットも当然あります。

 

時間に余裕が必要

ピストン輸送での引越しには時間がかかるというのが大前提です。

本来なら1度で荷物を運んで終わるはずのところを2回、あるいはそれ以上の回数に分けて運ぶわけですから、それだけでも通常の何倍もの時間がかかっています。

ですので、「○時までに引越し作業が終わらないと困る」のような場合にはピストンでの引越しは行えません。

「今日中に引越しができればいいわ」ぐらいの時間的余裕がある場合に適した方法なんですよ。

 

こちらの人手が必要

今までの部屋、新居の両方に立ち会うための人員が必要になります。

あるいは、トラックが出発するたびに一緒に出発し、立ち会わなくてはなりません。

ピストン輸送での引越しは、作業自体は落ち着いてできるものの、立ち会う人員が確保できない場合は新居と今までの部屋の間の移動が少しあわただしくなります。

 

周囲への配慮が必要

普通に引越しをする場合だって周囲への配慮は欠かせませんが、ピストン輸送ともなると「1日に何度もトラックが来る」という事になるので、閑静な住宅街の場合は特に周囲への配慮が必要になるでしょう。

引越し早々、トラブルなんてイヤですものね。

 

近距離でしか使えない

ピストン輸送は、移動距離が比較的短い場合に限って使える方法です。

具体的には引越し業者ごとに規定が異なりますが、たいていどの引越し業者でもおよそ5~6kmの範囲内に設定していると考えて間違いないでしょう。